お役立ち情報

介護施設の使命とは

  • 業種 介護福祉施設
  • 種別 レポート

1件の顧客の重みを理解する(中編)

  • 介護施設における稼働率向上実務のポイントシリーズ。
  • 1件の問い合わせから成約に繋げる機会を最大限にするための案件管理方法について学ぶ。

成約率が低いのは機会損失を繰り返しているから

本シリーズでは、営業を外回りなどの「攻め」だけではなく、問合せ案件を成約に繋げる「守り」にもスポットを当てて、その中でも特に介護現場でできる対応について考察している。

そもそも、なぜ介護施設は問合せ案件を取りこぼしてしまうのか。問合わせのあと、顧客が見学に来たり、体験利用をしたり、重要事項説明書を持ち帰ったりしているのは、その施設に関心を持っているからではないのか。

その答えは簡単で、人の気持ちや考え方は、他者の意見や考えに影響され、移ろいやすいものだからであろう。初めから確固たる信念で、誰の意見にも左右されずに、決めるべき基準に従って施設を選ぶような方であれば、前向きな反応をいただけた時点で成約は間違いないだろうが、残念ながらそのような方は少ないようだ。多くの方は、介護に対する不安は大きいものの、そこに確固たる解決策は持っておらず、その場で聞かされたことがすべて正しいように感じられてしまう。そうすると、あとから聞いた方が良さそうに感じたり、より断定的に述べる意見の方に傾いたりしがちになるのはよくあることだ。

もし私たちが本当に利用者にとって必要なサービスを持っていて、利用者が間違いなく幸せになれる支援ができる自信があったとしても、複数の施設見学を行ったり、体験利用をはしごしたりする中で考え方を上書きされてしまうと、顧客の気持ちもそちらに傾いてしまい、他施設に競争に負けて機会損失となってしまうことも多い。

ただでさえ競争激化の一途を辿る介護業界において、自施設を本当に必要としている利用者のお引き受け機会を失ってしまうことがどれほどの損失だろうか。では、そのような機会損失を起こさずに1 件の問合せを成約にまでつなげていくにはどのような取り組みをすればよいのだろうか。

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営業案件管理シートの工夫と使い方とは

問合せ顧客をつなぎとめるために必要なこととは、問合せからクロージングまで、隙のない連携を取っていくことが最短距離であることは間違いない。

見学から数日のうちに連絡を取っている場合と、2 週間以上間が空いてしまっている場合とでは、自施設への関心を持ち続けてもらえる可能性は大きく変わってしまう。その間に他施設を見に行っているなどすればなおさらだ。しかし、ならば細かく連絡を取り続ければよいかと言えば、嫌がられずに行うことは簡単ではない。問合せ顧客との連携を密に取るためには二つの工夫が必要となる。

ひとつは、小まめに連絡を取る理由付けである。基本的には、頻繁な連絡だけでは「営業熱心」としか捉えられず、却って逆効果になる可能性もある。ここで大切なことは、利用者の困りごとを解決することが我々の使命であることを忘れないことである。顧客への頻繁な連絡は、成約の判断を早く聞かせてほしいのではなく、まだ介護の引受先が決まっていない利用者の家庭での状況を気にかけている表れであるという姿勢を忘れてはならない。そして、そのような姿勢があれば、まめな連絡も決して先方に嫌がられることはない。今の介護問題を解決するために最後までお付き合いするという覚悟が伝われば、相手もそこに応じてもらえる可能性は高まる。

そして、そのうえで連絡した内容は必ず日付とともに顧客管理シートに記入する習慣をつける。顧客管理シートは案件名だけでなく、連絡した日付と内容まで記載できる形式にしていれば、管理者は連絡の頻度や内容を確認し、隙なく連絡を行うためのアドバイスができるようになるのである。このような、よい心がけと管理体制の二段構えで連絡を取ることで、顧客は自施設の利用への気持ちをより高めることになりやすくなるのである。

次回後編では、このような成約の熱を冷ます見学対応の例などについてお伝えする。

レポートの執筆者

沼田 潤(ぬまた じゅん)
株式会社 日本経営 介護福祉コンサルタント

株式会社の運営する介護付き有料老人ホームにおいて介護職員から施設長までを経験後、北京に駐在し海外事業にも従事。2015年に日本経営に入社、主に介護施設における稼働率向上支援、介護サービスレベルの底上げ支援などを担当する。介護福祉士。

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

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